このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
イリヤは十日に一回、マリアンヌを連れて登城していた。それが今日。
もう何度訪れたか覚えていないが、彼と結婚して二か月が経ったことを考えると五、六回くらい。
クライブと一緒に馬車に揺られて、王城へと向かう。イリヤの膝の上でマリアンヌはお座りしており、ぱっちりと大きな目を開けて声をあげている。
向かい側にはクライブはいるが、彼の視線はマリアンヌを捕らえていた。眼鏡の奥のアイビーグリーンの目尻が下がり、その表情はやわらかい。
出会ったときのキリリとした無表情な感じが、ここにはないのだ。
「ん? どうかしたのか?」
あまりにも彼をじろじろと見てしまったようだ。
クライブは、マリアンヌに向けていた視線をイリヤへ変える。
「あ、いえ。閣下もマリアンヌの父親らしくなってきたのかな、と。そう思っただけです」
「なるほど」
たったそれだけであるのに、その言葉からあたたかさを感じて、イリヤは目を瞬いた。
「……お前は、マリアンヌに弟妹を望むか?」
「え?」
クライブは、なぜそのようなことを口走ったのだろう。
もしかして、聖女召喚の儀を行ったけれども、またマリアンヌと同じように赤ん坊とか幼子が召喚されたのだろうか。それとも、孤児院から魔法が使える子どもを引き取りたいとか。
もう何度訪れたか覚えていないが、彼と結婚して二か月が経ったことを考えると五、六回くらい。
クライブと一緒に馬車に揺られて、王城へと向かう。イリヤの膝の上でマリアンヌはお座りしており、ぱっちりと大きな目を開けて声をあげている。
向かい側にはクライブはいるが、彼の視線はマリアンヌを捕らえていた。眼鏡の奥のアイビーグリーンの目尻が下がり、その表情はやわらかい。
出会ったときのキリリとした無表情な感じが、ここにはないのだ。
「ん? どうかしたのか?」
あまりにも彼をじろじろと見てしまったようだ。
クライブは、マリアンヌに向けていた視線をイリヤへ変える。
「あ、いえ。閣下もマリアンヌの父親らしくなってきたのかな、と。そう思っただけです」
「なるほど」
たったそれだけであるのに、その言葉からあたたかさを感じて、イリヤは目を瞬いた。
「……お前は、マリアンヌに弟妹を望むか?」
「え?」
クライブは、なぜそのようなことを口走ったのだろう。
もしかして、聖女召喚の儀を行ったけれども、またマリアンヌと同じように赤ん坊とか幼子が召喚されたのだろうか。それとも、孤児院から魔法が使える子どもを引き取りたいとか。