三角関係勃発!? 寝取り上司の溺愛注意報
四章 ふたりの恋の行方の件③
その日の夜、恩人である亜希子をBARに呼び出した沙耶は、彼女にカクテルをおごった。カウンターに座るふたりの前にはミモザが並んで置かれている。
「これもぜんぶ亜希子のアドバイスのおかげだよ~! 本当にありがとう!」
「いえいえ、イケメン上司を手に入れた沙耶に乾杯!」
チン! とグラスを合わせ、互いにオレンジの液体をひとくち口に含んだ。
「それで結局、尚樹くんと例の浮気女はどうなったわけ?」
「『ナルカワコーポレーション』を解雇されちゃったわ」
亜希子の問いに、沙耶はなぜか申し訳なさそうに答える。決して自分が悪いわけではなかったけれど、心のどこかで自分のせいで彼らの人生を変えてしまったかもしれないと、後悔しているのだ。
「藤本課長が上申したの。尚樹と田辺美保子は会社の風紀やチームプレイを乱すからって」
あらまあと、亜希子が面白そうにクスクスと笑う。
「傷つけられたのは沙耶のほうなんだから、何も責任なんて感じることないのよ?」
「それはそうなんだけどね……」
尚樹と田辺がこれからどうなるかは、もう沙耶の範疇にない。がんばって就活でも婚活でもしてほしいと思うだけだ。それなのに悶々としてしまうのはきっと、五年というあまりにも長い期間付き合っていたからだろう。
亜希子はグイッとミモザをあおってグラスを空にした。手を挙げて、マスターにお代わりを要求する。
「ねえ、沙耶。五年は確かに長いけど、決してムダではなかったと思うわ」
「え……なんで?」
沙耶が引っかかっているのはそこだ。五年も人生をムダにしたと思っている。もっと早く藤本と付き合えていればと思わずにはいられなかったのだ。
けれど亜希子の考えは違うらしい。お代わりのミモザのグラスに口をつけると、至って冷静に意見してきた。
「尚樹くんとのことがあったから、上司が溺愛してくるようになったんでしょう?」
「た、確かに」
そのようなことを、以前藤本が言っていたことがある。そしてあの飲み会の夜から、沙耶と藤本の関係が始まったと言っても過言ではない。溺愛されてきた日々を思い出す。
「じゃあ……本当に意味はあったのかな?」
「もちろん。それが人生ってもんでしょう」
沙耶と亜希子は微笑み、再びグラスを合わせた。
「これもぜんぶ亜希子のアドバイスのおかげだよ~! 本当にありがとう!」
「いえいえ、イケメン上司を手に入れた沙耶に乾杯!」
チン! とグラスを合わせ、互いにオレンジの液体をひとくち口に含んだ。
「それで結局、尚樹くんと例の浮気女はどうなったわけ?」
「『ナルカワコーポレーション』を解雇されちゃったわ」
亜希子の問いに、沙耶はなぜか申し訳なさそうに答える。決して自分が悪いわけではなかったけれど、心のどこかで自分のせいで彼らの人生を変えてしまったかもしれないと、後悔しているのだ。
「藤本課長が上申したの。尚樹と田辺美保子は会社の風紀やチームプレイを乱すからって」
あらまあと、亜希子が面白そうにクスクスと笑う。
「傷つけられたのは沙耶のほうなんだから、何も責任なんて感じることないのよ?」
「それはそうなんだけどね……」
尚樹と田辺がこれからどうなるかは、もう沙耶の範疇にない。がんばって就活でも婚活でもしてほしいと思うだけだ。それなのに悶々としてしまうのはきっと、五年というあまりにも長い期間付き合っていたからだろう。
亜希子はグイッとミモザをあおってグラスを空にした。手を挙げて、マスターにお代わりを要求する。
「ねえ、沙耶。五年は確かに長いけど、決してムダではなかったと思うわ」
「え……なんで?」
沙耶が引っかかっているのはそこだ。五年も人生をムダにしたと思っている。もっと早く藤本と付き合えていればと思わずにはいられなかったのだ。
けれど亜希子の考えは違うらしい。お代わりのミモザのグラスに口をつけると、至って冷静に意見してきた。
「尚樹くんとのことがあったから、上司が溺愛してくるようになったんでしょう?」
「た、確かに」
そのようなことを、以前藤本が言っていたことがある。そしてあの飲み会の夜から、沙耶と藤本の関係が始まったと言っても過言ではない。溺愛されてきた日々を思い出す。
「じゃあ……本当に意味はあったのかな?」
「もちろん。それが人生ってもんでしょう」
沙耶と亜希子は微笑み、再びグラスを合わせた。