王子様のお世話役を仰せつかっておりますが。〜おせっかい令嬢は、隣国王子に執着される〜
「本当は、昨日の舞踏会でお会いできたら良かったのだけど……リセさんはいらっしゃらなかったから」

 ルーナがおっとりと話し始めた。
 どうやら昨日の舞踏会、リセ以外の三人は会場へ勢揃いしていたらしい。そしてなんと、リセが来るのを待っていたのだという。

 (舞踏会……行かなくて本っ当に良かった……)

 リセは心から安堵した。舞踏会という公の場で、このキラキラした三人から囲まれるなど試練でしか無かっただろう。
 リセの欠席を知って、クルトはフォルクローレ伯爵家までわざわざ出向いてくれたらしかった。「また会おう」という、十年前もの約束を守ろうと。なんと律儀な男なのだろう。



「実は、クルト王子が留学生として我が国の学園に通うことになってね」
「リセさんには、学園でクルト殿下のお世話役をお願いしたくて」

 グラナードとルーナから、驚きの発言が飛び出した。

 クルトはディアマンテ王国の第二王子。いずれ第一王子……次期ディアマンテ王の補佐として、国を支えていくことになる。
 近い将来、クルトが近隣諸国との窓口となれるよう、まず友好的な関係にある我がエスメラルダへの留学を決めたのだという。
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