靴擦れだらけのシンデレラ

嫁ぎ先からの求愛


「…ちょっとすいません…。背中が…。」

人生で抱擁されたことが無かったから気付かなかったが、背中に強く触れるとズキズキと痛む虐待された傷。

王子に抱き締められたことを死ぬ時までの思い出にしようと心にインプットし、とりあえず痛くて離れようとしたらまさかのワンピースのスカートを背中までガバッと捲られる。ビックリした、捲るというか両手で天井まで上がる腕に私のUN●QLOの女性パンツがわ~お!と丸出し。

王子ー!!捲ったところでインナーは着ております!!私の尻を出しただけ!それとも王子のきょうの~パンツ~と、朝の8時前にやってるアレのつもり!?花ちゃん19歳は生後ゼロ日で今の母達に引き取られてってナレーション流れちゃう!?

と、捲ったワンピースを片手で押さえ、もう片方の手でインナーの服をまた勢いよく捲る。わ~お!再び。
しかし今度は私の傷を隠すサラシが登場。
パッと見サラシ姿の女性なんてレア!ブラジャー嫌いでこっちの方が楽なんです~と巨乳でもない私が通じるのか!?




「ここから花ちゃんの悲鳴が聞こえる。」

サラシが巻いてある背中に王子が顔をつけて、ちょっと中二病みたいな発言を言う王子にどう突っ込んでいいのかわからない。そもそも触れるな痛い!と、現実的な言葉の方が出そうになり、プルプルと息を止めて白目。

「先ずは傷を治してから君を愛したい。君が痛がる表情なんて考えたくもない。」

捲りあげた服をゆっくりと戻し、膝の上に座っていた私を隣の席に移動させてくれる。

「しかし花ちゃんのピンク色の下着姿が頭から離れない。我慢出来なかったら申し訳ない。」
「蒼真様駄目ですよ。宝物は大事にしてあげないと。」

異国!!
会話がもはや二次元じゃない!あれー?夢かなー?でもピンク色の下着は私だなぁ?チラッと王子の顔を見ると、またしても頬を赤らめた王子が私に向けて

「宝物になるからこそ早く触れたいんだ。その見たこともないデザインのピンク色の下着のせいで抑えられないかもしれない。」

UN●QLOのパンツ知らないのー!!!!
ていうかUN●QLOパンツに欲情するならもうワ●ールお呼びじゃなくない!?

そもそもシンプルに聞くけど、

「あ、あの…。すみません、状況がさっぱりなので一から説明をお伺いしても宜しいでしょうか。」
「ほら蒼真様、順番をお間違えですよ。」
「あ、そうだな、つい…。改めて自己紹介させて貰う。桜小路蒼真だ。助手席にいる太った男は私の叔父で私のパートナーみたいなものだ。
大体私の偽物の役をして貰っている。」
「申し訳ありません、花さん。桜小路そう太と申します。お見合い時の花さん本当に素敵でしたよ。」

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