靴擦れだらけのシンデレラ

嫁ぎ先からの溺愛


棚からぼたもちではないが、私の結婚相手はそう太さんではなく正真正銘の大金持ちの桜小路グループのご子息蒼真さんだった。彼は幼少期から海外に住んでおり、最近まで一番大きい海外支社のトップとして勤めていたが、世代交代の為に本社に戻ってきたらしい。

ただ私の頭の中で天使と悪魔が囁いてくる。

『惑わされないで!こんな人生のカースト制度トップに君臨する王子様がUN●QLOパンツの貴方を愛するなんてそんな夢物語はあり得ないわ、現実を見て!』
『いいじゃん、金を出させながら甘い蜜吸いとって離婚されても慰謝料貰えば人生安泰じゃん。UN●QLOパンツ買い放題だぜ?』

考えても考えてもUN●QLOパンツしか考えられないのは、やっぱりどう見たってこんな王子に愛されるなんて信じられない。まして身体には傷や痣だらけ。あり得ないの言葉以外見つからない。なのに、

「どうかyesと答えてくれないか。君への想いが爆発しそうで早く二人になりたくてなりたくて堪らないんだ。」

私の頬を撫でながら息づかいが荒くなり、顔を赤らめたままガバッ!と私の身体を覆い被さる体制になり「蒼真様!はしたないですよ!!」と、そう太さんに渇を入れられる。

ちょっと待って!こっちの身が色々持たない!
背中痛いしドキドキするし、なんかもしかして本当に愛されちゃってない?みたいな状況にこっちの鼻息も荒くなるのは当然だよね!?

「着きました。蒼真様いいですか?初日からガツガツしてはいけません。紳士にですよ!いいですね!?」
「出来ない約束はしない主義だ。」

その言葉に私のloveはもはやpeaceではない。

先に降りた蒼真さんが、車のドアを開けて私の手を優しくエスコートしてくれる。降りたその場所は上を見上げても空に続く…ビル?マンション?てっぺんが見えなすぎてもしかしたらこのまま上に昇ったら天界にいけるんじゃないかと思う。

「二人の家だよ。急いで用意したんだ。気に入らない所があったら何でも言ってくれ。」

そのまま手を引かれながらビルの中に入っていくと、選ばれし者しか入れませんみたいな広くて高級感のあるモダンなエントランスホールに、蒼真さんに気付いたコンシェルジュが深々と頭を下げている。
扉からエレベーターから部屋に入るまでカードキーじゃないと動かず、このカードキー落としたらただじゃ済まないレベルにパスケースに入れて首からぶら下げようかなと本気で考える。

手を繋ぎながら最上階に案内され最上階は一部屋しかなく、いよいよドッキリでーすと言われても良いように心の準備をしながら身を構え、カードキーで重そうな扉のドアを開けると、全体的に白いデザインの玄関とシューズクロークだけで自宅のリビングくらいはあるだろうその広さに唖然とする。

私ここで住めますがな!!

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