眠れる海の人魚姫〜政略結婚のはずが、御曹司の一途な執着愛に絡め取られました〜
彼は、国内海外問わず様々な事業を手がける国内最大級の財閥系企業、岬グループの御曹司だ。その若さにもかかわらず岬グループの中で不動産業を営む岬地所の専務を務めている。不自由な足を理由に西城ホテルのわずかな業務を在宅でこなすだけの美雨とは雲泥の差だ。すごい、と素直に感服する。
「ええと、私たちの婚約はいわゆる政略結婚……ですよね。不動産を扱う岬地所とホテル業の西城ホテルが組んで、今後はインバウンド向けラグジュアリーホテル事業を拡大していく、と」
あくまでも二人は契約で結ばれた関係だ、舞い上がってはいけない。父から伝えられたこの婚約の意図を説明すると、嶺人の柳眉がひそめられた。
「その通りだが、俺は愛のない結婚をするつもりはない。互いを不幸にするだけだからな。浮気はしないし、美雨にも許さない。いいな?」
双眸には真剣な光が宿っていて、美雨の鼓動がうるさくなった。まるで愛しているとでも言われているようで。
けれどその言葉の意味を、美雨はきちんと理解している。
テーブルの横に立てかけられた杖に目を落とし、固くこわばった膝を撫でた。
――美雨の足が上手く動かなくなったのは、十年前に交通事故に遭ったからだった。
運命が変わってしまったのは、嶺人が高校二年生、美雨が中学二年生のとき。
「ええと、私たちの婚約はいわゆる政略結婚……ですよね。不動産を扱う岬地所とホテル業の西城ホテルが組んで、今後はインバウンド向けラグジュアリーホテル事業を拡大していく、と」
あくまでも二人は契約で結ばれた関係だ、舞い上がってはいけない。父から伝えられたこの婚約の意図を説明すると、嶺人の柳眉がひそめられた。
「その通りだが、俺は愛のない結婚をするつもりはない。互いを不幸にするだけだからな。浮気はしないし、美雨にも許さない。いいな?」
双眸には真剣な光が宿っていて、美雨の鼓動がうるさくなった。まるで愛しているとでも言われているようで。
けれどその言葉の意味を、美雨はきちんと理解している。
テーブルの横に立てかけられた杖に目を落とし、固くこわばった膝を撫でた。
――美雨の足が上手く動かなくなったのは、十年前に交通事故に遭ったからだった。
運命が変わってしまったのは、嶺人が高校二年生、美雨が中学二年生のとき。