月と太陽の事件簿1/月明りに照らされて
別荘があるだけあって、このへんはちょっとしたリゾート地だ。

湖をはさんで反対側には全国版のガイドブックにも載るような店もある。

「別荘に戻ってきたのは何時ごろですか?」

「7時ごろだったと思います」

「帰る時には雨は降ってましたか?」

「降ってました」

「ではここに来るまでの帰り道でどなたか見かけませんでしたか?」

「いいえ、誰とも会いませんでした」

恵理さんのこの返事に、あたしは妙な違和感を覚えた。

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