期待、するから
期待?
期待って、何を?
ぱちぱちと瞬きをしたせいで、溜まっていた涙が頬を伝う。
そのおかげでぼやけていた視界が開けて、くっきりと見えた蓮の部屋。
繋がれた手をたどって視線を動かせば、覗き込むような蓮の目を捉える。
それは今から嘘だとネタばらしをするような、揶揄う瞳ではない。
真剣な視線に射抜かれて、喉が渇く。
「……期待って、なにを?」
掠れた声が必死に言葉を紡いで、いまだに理解できない蓮の行動を問いただす。
「……俺のこと、好きかもって」
なにそれ。
好きかもって、好きだよ。