期待、するから

不安げに揺れる蓮の瞳。


もう一度、蓮の言葉を反芻する。


期待するって言った。

何を期待するかって聞いたら、私が蓮のことを好きかもって期待するって。


期待って、なんだっけ。

期待するって、それが自分にとって良いものだってことだよね。


「……私が、蓮のこと好きだとして、なんで期待するの?」


ねぇ、それってつまり、そういうことなの?

私も、期待しちゃって、いいってこと?


「だから、それはっ」

ふぅ、と一息ついた蓮が、勢いよく立ち上がった。


「俺が、瑞稀のことを好きだからだよ!」


離されなかった手が、ぎゅうっと強い力で握られた。


そこから蓮の緊張が移ったみたいに、心臓が痛いくらい脈打つ。

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