期待、するから

「瑞稀?」


そっと蓮の胸を押し返せば、意外とすんなり離れていく身体。


戸惑ってるくせに、目が合えば赤い顔を隠そうともせずにくしゃっと笑うその顔に、疑っているわけではないけれど。


「一年生と付き合ってるって聞いたけど」

やっぱりここははっきりさせておかないと。


「へっ? 付き合ってないけど」
「もう別れたの?」
「いや、別れるも何も。初めから付き合ってないし……」


焦ってる様子もないし、多分本当のことだろう。


でもあの時の棘は、今もまだ私の心に突き刺さっている。


「キスしたって聞いた」
「えぇ? してないしてない! てか誰から聞いたの」
「クラスの男子たちが話してた」
「……あいつら」


苦虫を噛み潰したような、どこか恨めしそうな顔をした蓮に、胸の棘が深く突き刺さるのを感じた。

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