期待、するから
歩いて歩いて、やっと蓮が足を止めた先は、蓮の家。
迷うことなく中に入って、二階へと続く階段を上がる。
そのまま蓮の部屋の扉を開けて、手を離されたのは、扉が閉まる直前のことだった。
それに寂しいと感じるまもなく、床に二つの鞄が落ちて、向き合う形で蓮に肩を掴まれる。
背の高い蓮が私を見下ろして、じっと見つめるその視線から逃れることができなかった。
視界にはもう蓮しかいなくて。
久しぶりの蓮の部屋なのに、それを気にする余裕なんて全く無かった。
近づいてくる蓮の顔に、バクバクと心臓がうるさいくらいに胸を打つ。
目を、閉じないと。
そう思って瞼を下ろした時だった。