期待、するから
「はぁぁぁ………」
大きいため息が聞こえたと思えば、次の瞬間には肩にかかっていた重みが消えてしまって。
目を開ければ、その先にいたはずの蓮は、いなくなってしまっていた。
いや、正確には、その場にうずくまるように座り込んでいた。
さっきまで私の肩にあったはずの腕は、自分の頭を抱えるようにしている。
下を向いているのと、その腕のせいで蓮の顔は見れなくて、でも、これだけはわかった。
──あぁ、終わったんだ。
蓮の嘘が、やっと終わった。
きっと今からネタばらし。
嘘だよって言われたら、わかってたって言って、そんで流石に引っ張りすぎでしょって笑えばいい。
あくまで、わかっててバカなフリをしたのだと。
蓮にはバレないようにそう言って、そうして静かに私の恋は終わるのだ。
──せめて、キスくらいすれば良かった。
さっきの教室。
あの時咄嗟に止めなければ、できていたのかもしれない。