淡いピンクのカクテルは、私と彼を甘く誘う~凄腕脳外科医に溺愛されています~
真っ直ぐ前を向いたまま、そう言った幸聖さん。突然の嬉しい言葉に、顔が熱くなる。


「そっ、そういえば! 幸聖さん、弟さんがいたんですね」


恥ずかしくなって、誤魔化すかのように話題を変えた。

お母様いわく、弟さんがいるんだとか。
どんな人なのか、気になる。


「弟も医者なんだ。あいつは外科医。今はアメリカの大学病院で働いてる」
「はっ!? アメリカ!?」


驚きを隠せず、前のめり気味に幸聖さんの方へと顔を向けた。

アメリカ……!
まさかの海外勤務だったとは。

やっぱり、岡林家ってすごい家系なんじゃない……?
私、本当に大丈夫かな。


「へぇ……海外勤務なんて素敵」

「知花」
「はい?」


赤信号でブレーキを踏んだ幸聖さんは、ジっと私の方を見つめてくる。


「俺の前で、ほかの男の話しするの禁止」
「あ……」


そう言うと、幸聖さんは再び前を向いてアクセルを踏んだ。どうやら、弟さんの話題になったのが気に入らなかったみたい。

男って言っても自分の弟なのに、嫉妬しているのがなんだかおかしい。


「帰ったら、お仕置きな?」
「なっ……!」

「激しくしてやるから、覚悟しとけ」


幸聖さんの爆弾発言に、体温が一気に上昇する。

帰宅後の夜。食事を摂ることも忘れて、宣言通り、彼にたっぷりと愛された。
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