人狼様と魔王の側近
ヴァイオレットは本のページを開く。そして首を傾げた。本の中までインクに染められたかのように真っ黒だ。文字が書かれているのかすらわからない。

(本にこんな悪戯をするなんて!)

憤りを感じたその時だった。本から黒い光が現れる。ヴァイオレットは驚いて本から手を離したのだが、何故か本は床に落ちることなくその場に浮いていた。

「ヴァイオレット!!」

イヴァンがそう叫び、ヴァイオレットに駆け寄ろうとする。オリバーは目を見開き、フェリシアーノとサクラは踊るのをやめて本を見ていた。

黒い光にヴァイオレットたちは包まれる。数秒後、光が消えた時彼女たちの姿はホールにはなかった。ただ黒い本だけが、床にドサッと音を立てて落ちた。












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