海が凪いだら迎えに来てね〜元カレ海上保安官に極秘出産が見つかるまでの軌跡〜
「尾藤さん、おめでとうございますっ!今で妊娠9週目ですね。もう赤ちゃんの心拍も確認出来ますよ!母子手帳ももらえると思うので、指定された場所で〜・・・」
これまでの人生で、他人に【⠀おめでとう 】と言われて、素直に手放しで喜べないのは、あの誕生日の日にケーキを運んできた男のスタッフを入れて、今この瞬間で二回目だ。
とりあえず妊娠していると分かって、真っ先に思ったのは、、"店長、辞めよう"だった。
それは私の中では"産まない"なんて選択肢は存在すらしていないということで、思っていたよりも自然に受け止めることが出来た。
──…凪砂との子どもを授かった
正直、こんなにも幸せなことはないとさえ思える。ずっとずっと大好きだった凪砂。
あの夜のことを他人が聞けば、凪砂のことを非難する人もいると思う。でも私には凪砂が、とても弱々しくて、突き放すと消えてしまいそうな、、そんな風に見えたんだ。
それに、【 責任 】なら私自身にもある。あの日の凪砂は冷静ではないと分かっていたのに、いつも避妊していた凪砂に安心しきって、受け入れたのだから、誰が悪いとか、誰の責任とか・・・そういう事は一切思わない。
ただ、シンプルに、、
「─…嬉しいっ」
そっと自分自身のお腹に手を乗せて呟く。
「ありがとう、、」
私のところに来てくれて、ありがとう、、
っと、今はそんな気持ちでいっぱいだった。