元令嬢は俺様御曹司に牙を剥く 〜最悪な運命の相手に執着されていたようです〜
「そんで、ここがお前の部屋」
「はぁ!?」

 共同生活しなければならないらしい家の中を案内され、最後にやって来た場所に私は目をひん剥いた。私の部屋の家具が、そのまま配置されていたのだ。

 ベッド、ローテーブル、それだけじゃない。木材を自分で組み立てて作った、父母のためのスペースまで。

 急いで駆けて、そこに入れていた父母の写真を手に取った。折れや破れがないことに安堵し、思わず胸に抱いた。

「勝手に触らないでよ!」
「勝手じゃない。お前の伯母に連絡したら、どうぞどうぞって合鍵渡してくれたぞ。ついでに、俺らの婚約も喜んでた」

 私が牙を向いても、飛鳥は笑顔を浮かべるだけだ。

「間取り的に全く同じとはいかなかったが、ほぼお前の住んでいた通りだ」

 飛鳥は私の家の鍵を手にぶら下げている。

「良かったろ。あんなぼろアパートより、こっちのほうが数百倍は住心地がいいだろうし」

 もう全く、意味がわからない。
 不意に目の奥が熱くなって、思わずぎゅっと目をつぶった。泣いてたまるか!

「サイッテー!」

 大声で叫んだら、我慢していた涙が流れそうになってしまった。

「何で……こんな…………」

 怒りに混じって、悔しさと悲しさがこみあげる。

 何で私ばっかりこんな目に合わなきゃいけないの!
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