元令嬢は俺様御曹司に牙を剥く 〜最悪な運命の相手に執着されていたようです〜
「飛鳥……?」
いつの間にか閉じてしまっていた目を開いた。視界がぐしゃぐしゃになっていた。どうして泣いていたのだろう。しばらくして、ぼんやりと視界が開けた。
飛鳥の温もりが身体の上に乗っている。その温かさは先ほどまで確実に感じていたもので、私の火照った身体をさらに熱くする。なのに、右耳から聞こえたのは、「すー、すー」という寝息だった。
ゆっくりと、顔を右に動かす。間近に、飛鳥の寝顔があった。私の上で、上下する胸。息をするたびにぴくぴくと揺れるまつ毛。そのすべてを見て、感じたら、胸が幸せで満たされいく。けれど同時に、どこか寂しくもあった。
――寂しい? 何で?
胸に問う。というか、飛鳥のキスも嫌じゃなかった。というか、その先を期待してしまった。つい、『もっと』なんて口走ってしまった。
思い出したら急に羞恥でいっぱいになり、火にかけられた鍋よろしく全身が熱くなる。けれど、この距離に飛鳥がいるということが、口の中に残るワインのほろ苦い香りが、先ほどまでのことを全て事実だと伝えている。
ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ。
私、飛鳥のこと、こんなにも――。
気付いてしまった気持ちは私の鼓動をどんどんと加速させる。どうにかこの鼓動を収めようと、私はそっと飛鳥の下から抜け出した。
豪華すぎるスイートルームを満喫する余裕もなく、シャワーを浴び、備え付けのバスローブに着替えた。
ベッドルームに戻ると、飛鳥は寝返りを打ったのか、ベッドの端の方に横向きに寝ていた。だから私は空いたスペースにそっと乗り、飛鳥に背を向けて横になった。好きな人と同じ布団の中にいることに、幸せを感じながら。
いつの間にか閉じてしまっていた目を開いた。視界がぐしゃぐしゃになっていた。どうして泣いていたのだろう。しばらくして、ぼんやりと視界が開けた。
飛鳥の温もりが身体の上に乗っている。その温かさは先ほどまで確実に感じていたもので、私の火照った身体をさらに熱くする。なのに、右耳から聞こえたのは、「すー、すー」という寝息だった。
ゆっくりと、顔を右に動かす。間近に、飛鳥の寝顔があった。私の上で、上下する胸。息をするたびにぴくぴくと揺れるまつ毛。そのすべてを見て、感じたら、胸が幸せで満たされいく。けれど同時に、どこか寂しくもあった。
――寂しい? 何で?
胸に問う。というか、飛鳥のキスも嫌じゃなかった。というか、その先を期待してしまった。つい、『もっと』なんて口走ってしまった。
思い出したら急に羞恥でいっぱいになり、火にかけられた鍋よろしく全身が熱くなる。けれど、この距離に飛鳥がいるということが、口の中に残るワインのほろ苦い香りが、先ほどまでのことを全て事実だと伝えている。
ドキドキ、ドキドキ、ドキドキ。
私、飛鳥のこと、こんなにも――。
気付いてしまった気持ちは私の鼓動をどんどんと加速させる。どうにかこの鼓動を収めようと、私はそっと飛鳥の下から抜け出した。
豪華すぎるスイートルームを満喫する余裕もなく、シャワーを浴び、備え付けのバスローブに着替えた。
ベッドルームに戻ると、飛鳥は寝返りを打ったのか、ベッドの端の方に横向きに寝ていた。だから私は空いたスペースにそっと乗り、飛鳥に背を向けて横になった。好きな人と同じ布団の中にいることに、幸せを感じながら。