元令嬢は俺様御曹司に牙を剥く 〜最悪な運命の相手に執着されていたようです〜
 ショッピングモール内を歩いていると、不意に恵美さんが足を止めた。

「色春様、こういうのはいかがですか?」

 ショーウィンドウにあったのは、やたらと色っぽい下着だ。

「だ、だから! 恵美さん、こういうのは――」
「可愛らしさは先ほどのパジャマで伝わりますが、こういうのだってきっと……」

 恵美さんがそう言うので、思わず想像してしまった。飛鳥に組み敷かれ、キスを交わし、パーカーの裾を捲りあげた飛鳥。私が、こんなのを着てたらどんな反応をするだろう。

 というか。考えてみれば、今着ている下着は、全て安くてシンプルで、決して可愛くはない。そんなの、逆に幻滅するよね?

 考えれば考えるほど、恵美さんの選択が正しいような気がしてくる。

「よし、恵美さん行きましょう!」

 私がお店に足を踏み入れると、恵美さんは「待ってました」と言わんばかりに軽い足取りでついてきてくれた。

 結局、買ってしまった。しかも、セクシーなやつを、三着も。

「飛鳥様との夜が楽しみですねえ」

 ランチに立ち寄ったカフェでパスタを食べながら、恵美さんに言われて思わず赤面してしまう。けれど、そんな夜が早く来たらいいなと、私も思ってしまった。
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