好きを極めた乙女の駆け引き
今度は、言うつもりのなかった言葉がそのまま声に出た。
わたしの完敗だ。もうなにがなにやらわからない。もう、どうにでもなれ。
勝手に頭が下がって、がっくりとうな垂れる。
すると、忍ぶような笑い声が聞こえてきた。
「くくっ…………、……はは、はははっ!」
忍び笑いが、ふとしたタイミングで豪快な笑い方に変わった。
「!?」
「いやあ、おもしれえ」
安心院くんが、涙を流すほど笑っている。
「な、なに?」
「まじでこんなことあるんだ。ひっさびさに、超笑ったわ」
「え?」
彼がなにを言っているのかわからないわたしは、ひたすらに疑問を呈する。
だらしがないほど頬を崩す彼は、涙を拭って、それでもやっぱりだらしなく笑う。
「ごめんごめん。別にバカにして笑ってんじゃねえよ? ただ、なんつうかね。俺は今、奇跡を目の当たりにして、感動してるんだわ」
「感動してるように見えないんだけど」
「めちゃくちゃ感動してる」
安心院くんはひと息置くと、「そっち寄っていい?」と人ふたり分の距離を埋めてきた。
「答え合わせしてやろうか」
「答え合わせって、なんの?」
「今、言ってることと思ってることが逆になったろ。それの答え合わせ」
なんて反応していいかわからなかった。
答えを知っているのなら教えてほしい。けれど、うんと素直に頷いてしまうと、今、口にしたのはすべて本心だと白状することになる。