らくがきと恋心



「聞いてよ、すみれー!」



数学の選択授業が終わるとすぐに環ちゃんが私のもとにやってきた。


「なになに、どうしたの?」


「私も先週、机に“こんにちは”ってメッセージ書いたの!そしたらウ◯チの絵が返ってきた!絶対クソガキ男子だ!さいあくー」


キーッと効果音が出てきそうな顔で地団駄する環ちゃんをまぁまぁ落ち着いて、となだめた。


「あーあ。私もすみれみたいに机に癒しがほしい。そしたらつまんない数学の授業もやる気になるのになぁ」

「あはは、それは確かに。私はラッキーだね」


下ネタだったり、冷やかしみたいなことが書いてあったことは一度もない。


絵心があって、ユーモアがあって、きっと気づかいが出来る人。



一体、どんな人なんだろう。




知りたいけど、知りたくない。




矛盾した自分の心の声がきこえてくる。










< 6 / 17 >

この作品をシェア

pagetop