らくがきと恋心


「ねぇ環ちゃん、今日お弁当なくて。購買つきあってくれない?」


次の日のお昼休み。

私が環ちゃんを誘うと、「えー?ついに画伯さん探す気になったの?」のニヤケ顔で言われた。



「ち、ちがうよ。たまたまだからっ」

「へーえ?そっかそっかぁ。いいよ行こう」



私よりも先に教室を出た環ちゃんは、どこか楽しそう。


探すつもりなんて無い。

うん。お弁当がないから行くの。

私は自分にもそう言い聞かせた。







実際、ハッシュとか焼きそばパンを買ってる人がみんな画伯さんに思えてしょうがなかった。


私は終始ドキドキしながら人混みをくぐり抜け、ようやくたどり着いたカウンターから残り1つの焼きそばパンを指差した。



「焼き…「焼きそばパンちょーだい」」


私の小さな声をかき消して隣に立っていた生徒が焼きそばパンを買って行く。


ああ、最後の焼きそばパンが。



すぐ隣で支払いを済ませている男子生徒は、グレーの髪の毛。制服はちゃんと着ているけど、耳にはピアス。

こういう人は、絶対に画伯さんでは無い気がする。


目の前に運ばれた焼きそばパンを見つめていると、その生徒はチラリと私を見た。



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