もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
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それから、ふたりでサロン正面の扉から廊下に出た。
玲伊さんの部屋に行くなら、内扉でいいんじゃないかなと思っていたら、玲伊さんはサロンの横の小さなドアの鍵を開けた。
「こっちへ来てごらん」
案内されたそこは、まるでセレクトショップの店内のように、きちんと仕分けされた洋服が収納されている小部屋だった。
「サイズはMが多いから、どれでも大丈夫だと思うよ」
「どうしたんですか、これ」
わたしは驚いて尋ねた。
「カタログ撮影するときに買い取らないといけないものがけっこうあってね。あ、ちゃんとクリーニングして保管してあるから」
玲伊さんは中から、薄紫色のボタニカル柄のオフショルダー・ワンピースを出して、わたしに当ててみた。
「これなんか、どう? よく似合いそうだ」
「ええ? 似合わないですよ、ぜったい。こういうデザインの服、着たことがないですし」
わたしが尻込みすると、玲伊さんは首を横に振った。
「だからこそ、だよ。きちんとした格好をして食事をするのもレッスンの一環だよ。一周年の日、ディナーパーティーにも出てもらうつもりだけど、そのときはイブニングドレスを着ることになる。その日のためにも、今から少しずつ、慣れておかないとね」
そう言われてしまうと、断れなくなってしまう。