もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
 「えっ」
 玲伊さんを除く全員が、思わず声を上げた。
 そんなあっさり断っていい話ではないと思うのだけれど。

 「そ、そんな、香坂さん、困ります」


 思ったとおり、紀田さんは悲鳴に近い声をあげた。
 でも、困り顔で救いを求める紀田さんにはかまわず、玲伊さんは席を立とうとする。

 え、ちょ、ちょっと待って。

 『KALEN』の特集、しかも2カ月連続って、めちゃくちゃ大きな企画なのに。

 そんなふうに無碍(むげ)に断らなくても、わたし以外の人にやってもらえばいいだけの話だと思うけど。

 「玲伊さん。ちょっと待ってください」
 わたしは思わず、彼を呼び止めていた。

 「ん? じゃ、やってくれる?」
 腰を浮かせたまま、玲伊さんは視線を向けてきた。

 「いえ、そういうわけではないですけど。だって、あまりにも突然なお話で……どうしたらいいか。わたしではなく、他の方にやっていただければ……」

 「えっ?」

 そのとき初めて、笹岡さんが口を開いた。
 
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