もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
「しかし、いつ見てもいい男だねえ、玲伊ちゃんは。眼福、眼福」
 彼が帰ったあと、しみじみとそう漏らし、祖母は台所に戻っていった。

 わたしは心のなかで、鳴海ちゃんのお母さんや祖母に完全に同意していた。
 うん、玲伊さんほど素敵な人なんて、他にはいない。

 だから余計、あんなふうに、わたしをからかうのはやめてほしい。

 望みのない期待なんて、抱きたくない。

 わたしはさっき読んだ絵本を思い出していた。

 でも、現実はいつもハッピーエンドになる訳ではないのだ、と。

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