もつれた心、ほどいてあげる~カリスマ美容師御曹司の甘美な溺愛レッスン~
「うわー、素敵ですね」
 あまりにも豪華な内装で、思わず大きな声が出てしまった。

 こちらは1階のナチュラルな雰囲気とはまったく異なり、重厚な真紅のベルベット・カーテンが良く似合う贅を尽くした空間だった。

 前にセットとメイクをしてもらったVIPサロンのヨーロピアンテイストの内装に近い。

 天井にはシャンデリア、床は寄せ木のモザイク、柱は大理石、壁面には天使がフレスコで描かれていて、それらを金の繊細な装飾が彩っている。

 西洋の城の大広間そのもので、ここなら舞踏会も開けそう。

 会社に勤めていたとき、300名を超すゲストを招いた親会社の周年パーティーを手伝ったことがあったけれど、それぐらいの規模なら充分対応できる広さがある。

「加藤さん、ここでお食事されたことは?」

 わたしはかぶりを振った。
「ないです、ないです。だってランチでも2万円からですよね、たしか」

「そうですね。たしかにめったなことでは来られないですよね。かく言うわたしも、こちらに勤めていながら一度も食べたことないですけど」と岩崎さんはちょっとおどけて言った。

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