このままずっと甘い夜を 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
…もう消えてしまいたい。


そう思っていた、――そのとき。


わたしの肩を包み込むように、なにかが被せられる。

見ると、それはライトグレーのジャケット。


この色のスーツは――。


「彼女は見世物ではありません!」


周りにいた招待客たちに怒鳴る声に驚いて振り返ると、それは…ジャケットを脱いだ名取くんだった!


名取くんに気づかれると思い、とっさに顔を背ける。


「ひとまずこの場を離れましょう。…立てますか?」

「…だ、大丈夫です…。わたしのことはお気になさらず――」

「そうはいきません。申し訳ないですが、少し失礼します」


名取くんはそう言うと、ふわりとわたしの体を持ち上げた。


「…きゃっ」


わたしから小さな悲鳴がもれる。


突然のお姫さま抱っこに注目を浴び、わたしは顔から火が出る思いだった。
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