リングノート〜必ず君を甲子園に連れて行く〜
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俺と烈は20時半からのすずとの勉強会のために、

誰よりも早く寮の食堂に来て夜飯を食べていた。

「おいお前ら、集まれー。体重測定すんぞ。」

おい〜このタイミングでかよ〜。

俺は食べている手を止め、

右手に体重計を持った工藤監督のもとに行く。

みんなが一列に並んだ。

強豪校ではよくあることだが、

定期的に体重チェックが行われる。

目標体重に達していなかったら叱られるし、

もしも体重が減ってなんかいたら、

元の体重に戻るまで毎日、工藤監督の監視のもと

茶碗に何倍ものご飯を食べなくては行けない。

「成瀬、おっけー。中田、おっけー。」

食べる事は嫌いじゃないし、

筋トレもしっかりやっている俺と烈は

今日も難なくおっけーをもらった。

また席に戻って急いで夜飯を食べる。


食べながら、みんなの体重チェックを見ていた。

叱られている生徒は1/3くらいいた。

練習がハードだから食べても太れない奴もいるし、

元々細い奴もいる。みんな大変だな〜。

そう思って見ていると、恐る恐る

体重計に乗る村上の姿が見えた。

村上勇人(むらかみはやと)。

同じ1年で野球部一のガリ。

「おい、村上、お前後ろ向け。」

後ろ?何でだろ。そう思っていると、

村上が恐る恐る工藤監督に背を向ける。

「お前、何だこれはぁぁぁあ!!」

工藤監督が叫びながら、

村上のパンツの中に手を突っ込む。

中からは食堂のドレッシングやら

トレーニングに使うダンベルやら、

色んなものが出てきた。

「あいつ、やっぱおもしれーな」

そう言って烈は横で笑っている。

村上は本当に突拍子のないやつで

いつも俺たちの想像を遥かに超えた事をやってくる。

「お前、俺を騙せるとおっとんのかコラァぁぁ!」

いつもに増して工藤監督が怒っている。

その後、工藤監督の目の前で、

村上は泣きながらご飯を食べていた。
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