リングノート〜必ず君を甲子園に連れて行く〜
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ベンチ裏で涙ぐむ2年生に南雲先輩が言う。

「俺のせいでごめん!でも、こう言うことだってある!だから野球は楽しいんだ!夏の甲子園でこの悔しさを晴らそうぜ!」

そういう南雲先輩に、2年生の誰かが呟いた。

「南雲はプロ入りが決まってるからそんなことが言えるんだよ。春の甲子園なんて正直どうでもいいんだろ、、、」

俺は腹が立った。

きっと1番悔しいのは南雲先輩だ。

確かに俺たちが勝てなかったのは

打線が打てなかったせいもあるけど、

あの一本のホームランがなければ、

負けることもなかったんだ。

俺には南雲先輩の気持ちがよくわかった。

だから俺はそいつに言ってやろうと思った。

そしたら、

「その言い方はないんじゃないですか!!!!!確かに点が入らなかったから勝てなかった。でもあの一本のホームランがなければ負けることもなかった。そう思って1番悔しい思いをしているのは南雲先輩です!私は南雲先輩が毎日、誰よりも朝早く来て、誰よりも夜遅い時間まで練習している姿を見ていました!そんな誰よりも野球が大好きで、誰よりも努力をしている南雲先輩が、春の甲子園なんてどうでもいいって思ってると思いますか?!」

そう言ったのは記録員としてベンチ入りしていたすずだった。

それを聞いた南雲先輩は、

「ちょっとごめん」

そう言って、どこかに行ってしまった。

「今南雲先輩に酷いことを言った人、後でちゃんと南雲先輩に謝ってください!!!」

すごい剣幕で怒るすずに、

先輩達も誰も何も言えなくなった。

すずはすごい。

誰かのために、こんなにも熱くなって、

先輩達に物申すことができる。

すずはそのままその場を去って、

南雲先輩を探しに行った。

そのすずの後ろ姿を見て俺は、

屋上ですずが泣いていた時に感じた

あの胸の痛みを感じた。
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