リングノート〜必ず君を甲子園に連れて行く〜

南雲先輩

春の甲子園が終わり、

俺たちは休む間もなく

夏の甲子園に向けて練習をしていた。

いつものようにみんなが帰った後に

夜、南雲先輩とキャッチボールをしていた時

突然南雲先輩が言った。


「翔〜高原ってどんなやつ?お前同中で今もクラスおんなじだろ?」

すず?

「高原ですかー?あいつはあのまんまのやつですよ。いつも明るくて元気で良いやつで、でも本当は泣き虫で、でもそれを人には絶対見せない。そんなやつです。」

「お前よく高原のことわかってるのな。俺、あいつの事貰っていいか?」

突然南雲先輩にそう言われて

ドキッとしてしまった。

「な、南雲先輩。あいつのどこが良いんですか!もっと可愛い子なんていっぱいいるし、それに南雲先輩、プロ入ったらモデルとか女優とか、そういう人達とも出会いあるんじゃないですか!?てかそもそも俺たちはただの親友で、俺のものでもないし!」

俺はなぜこんなに焦っているのだろう。

南雲先輩とすずが付き合ったって

別に良いじゃないか。

2人とも良い人だからお似合いだ。

「俺そういうモデルとか女優とか興味ねーんだわ、それはお前も一緒だと思ってたんだけどな、今やお前は学校1の美女と付き合ってるからな。だったら俺が高原に告っても良いだろ?夏の甲子園終わったら、ドラフト前に気持ち伝えようと思ってる。」



「翔、早く投げてくれよ。」

そう言われ、俺はハッと気づき

南雲先輩にボールを投げる。

「あ、すみませんっ!」

変な方にボールが行ってしまったが、

なんとか南雲先輩がキャッチしてくれた。

そんな俺を見て、南雲先輩は

「大丈夫。」

と言ってふっと笑った。

何で南雲先輩が笑ったのか、

俺には全然わからなかった。
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