リングノート〜必ず君を甲子園に連れて行く〜
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試合後に落ち込んでいた俺を慰めてくれたのは、

やっぱりすずだった。

「私さ、翔が楽しそうに、でも真剣に、野球やってる姿見るのが本当に好きなんだよね。多分きっとそう思ってるのは私だけじゃないと思うよ。今日私達は負けちゃったけど、翔の投球を見て元気をもらった人がたくさんいると思う。もちろん試合には勝ちたいし、甲子園には行きたいけど、それが全てではないと思う。」

「翔はよく頑張ったよ、お疲れっ!」

きっとすずも悔しいと思うし、

1回にあんな投球をした俺に腹が立つだろうに、

満面の笑みで俺にそう言う。

そして悔し泣きする俺を、すずは抱きしめた。

「泣きすぎだよ、男のくせにっ」

そう言って笑う。

愛おしい。すずのことが愛おしい。

俺は泣きながらそう思ってしまった。

俺はこの時自分の気持ちに気づいてしまったんだ。

俺が辛い時に、

こうやってそばにいてくれたのは、

支えてくれたのは、

いつだってすずだった。


俺はすずが好きだ。


そう思ったら余計に涙が止まらなかった。


俺はどうしようもなくすずが好きだ。
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