離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「かしこまりました。お伺いします」

私は安藤さんに処方されている痛み止めを持ち、特別室へ向かった。

個人的な事情でナースコールを無視することは、もちろん許されない。

「失礼します。安藤さん、痛み止めお持ちしました」

特別室は、以前とは違う重苦しい雰囲気に包まれていた。

そこには安藤さんともう一人、背の高い男の人。

白衣を着たその人は、まぎれもない笠原先生だった。

「あれ、先生」

先生がいるなら、ナースコールを鳴らさなくてもよかったような。

「悪いな、な……槇」

私は視線で彼に抗議する。

ほら、だから無理して名前呼びなんてするもんじゃない。

圭吾さんは手を顔の前で縦にして「ごめん」のジェスチャーをした。

「大丈夫ですよ先生。安藤さん、お待たせしました」
「ありがとう」

ベッドのふちに座り込んだ安藤さんは、じっとこちらを見て言った。

彼女は圭吾さんの決別宣言が理由だとは思うが、憔悴したような顔をしている。

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