離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
導かれるまま車に乗って着いた先で、私は固まった。
行書で書かれた木の看板。
カウンターしかないこじんまりとした店内には、子連れなどいない。
回らない……間違いなくここのお寿司は回らない!
寿司といえば回転寿司だと思っていた私は、いきなりの高級寿司店にうろたえた。
離れた席では夜職と思われる素人離れしたきれいな女の人と、ムッシュと呼びたくなるようなイケオジが食事を楽しんでいた。
どどどどうしよう。回転寿司でおなじみの注文タブレット、ない。値段が書かれたメニュー表すら、ない。
しかも回転寿司だと思っていたから、通勤カジュアル服のまま来てしまった。髪は疲れたおだんご。
最初のレストランのときに、普段からきれいにしておかなきゃダメだって後悔したはずなのに、活かせてない。私はおバカだ。
「なにか食べられないものはある?」
圭吾さんはやっぱりなにも気にしていない様子で問いかける。
「特にないです」
アレルギーもないし、特に嫌いなものもない。
でもこんな高級店で未知のお寿司を出されたらどうなることか。