離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「なんだあ、カテーテルで済むかと思ったけどそうじゃないのか」
「血管の狭窄だけならカテーテルでもいいんですが」
「先生がそう言うなら仕方ないな」

患者さんの中には、主治医と治療方針で揉めて、ICが長引く人も少なくはない。

そういう場合はセカンドオピニオンで他の病院の先生の意見も聞くといいのだけど、笠原先生の患者さんはほとんど他の病院にかからないという噂だ。

「なにかわからないことはないですか?」
「いえ、よくわかりました」
「不安があったらいつでも相談してください」
「はい。お願いします」

野沢夫妻は素直にうなずいた。

早い。オペの話し合いって、もっと時間がかかるものだと思っていた。

野沢さん夫婦が物分かりがいいのもあるけど、先生の説得力がすごい。

医者にありがちな、自分はわかっているからと言って早口でザーって説明するんじゃなくて、素人さんにもわかるように、要点を絞って医療用語を使わずに話す。

この人の患者さんとのしゃべり方は勉強になる。

私は感心しつつICの記録を電子カルテに残し、パソコンから離れて野沢さんの車いすを押す。

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