離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
今日はオペ当番らしい。
よかったよかった。無駄にならなかった。
私は袋ごと、お弁当を彼に渡した。
「うれしいな。大変だっただろ」
「そ、そんな大したものは入ってません。きまぐれで作ったので」
「きまぐれ弁当か。いいね」
まだ中身を見てもいないのに、圭吾さんはうれしそうに微笑む。
私は拒否されなかったことに安堵していた。
機嫌よく出勤したのに、病棟で受け持ち割の表を見た途端、気分が下がった。
私のところに安藤さんの名前が入っている。
「安藤さん、まだいる……」
毎日、圭吾さんのことをあきらめてひっそり退院してくれることを願っているのに、安藤さんは退院する気配もない。これは長期戦になりそう。
普通は主治医が退院と言えば退院で、家族を呼んで迎えに来てもらう。
ひとり暮らしの患者さんや身寄りのない患者さんは介護タクシーなどを頼むようお願いし、自宅に帰れない人は、ソーシャルワーカーと一緒に施設や転院先の病院を決めてなるべく早く退院してもらう。