離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「槇さん、あなたを受け持ちにした理由、わかるわよね?」
「えっ、え?」

それはいったい……。

答えが出せない私に、師長は耳打ちするように言った。

「あまり刺激しちゃいけないけれど、穏便に退院してほしいのよ。なるべく早く」

なるほど。師長は圭吾さんと結婚した私に、安藤さんを退院するように話をしてほしいのか。

病院としても看護師としても、本当に治療を必要としている人に力を使いたいのだ。

「はい……」

それはわかるんだけど、どう話を切り出せばいいのか。

漬物石を乗せたくらい重い気持ちで特別室へ訪室すると、安藤さんは相変わらず「私かわいそうだから優しくしてオーラ」を纏っていた。

「おはようございます。お熱血圧測りますね」

努めてにこやかに話しかけると、安藤さんはふるふると首を振る。

「私なんて死んでもいいんだから、熱なんて測る必要がないわ」

私は絶句した。まさかそういうふうにくるとは思わなかった。

そのセリフって、重病で余命幾ばくもない患者さんならわかるんだけど、元気な人が言っても面倒くさがられるだけ。

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