離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
お昼ご飯というワードでピンときた。

昨日、お弁当を食べていたところをオペ室の誰かに見られたに違いない。

偶然、あのテラスを利用しようとした人がいたのだろう。

「ええと……」

これはもう観念したほうがいいのだろうか。

あわあわしていると、師長室から師長が現れた。

「私語は! 慎むこと! 患者さんはここで治療しているんですよ⁉ 静かにしなさい!」

そう言う師長の声が一番大きくて病棟中に響いた。

もちろんそれについて口ごたえできる人間はここにいない。

「仕事を終え次第帰ること! いいですねっ」

控室で私をつかまえようとしていた人たちにも師長は厳しく声をかけた。

「ちぇっ。じゃあお疲れ様です」
「また今度ゆっくり聞かせて」

日勤の看護師たちは仕事が終わった者から帰っていく。

夜勤のメンバーは私と千葉くんとあとひとりの先輩で三名。それと、看護補助者一名。

仕事が始まれば忙しくて、話している時間もないことが、今日だけは救いだった。

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