離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「安藤さん、どうしました?」

開けてびっくり、特別室は照明がついておらず、闇が広がっている。

消灯時間を過ぎても、個室や特別室はトイレのときなどに照明をつけることが可能だ。

自分で動けるんだから、照明くらいつけたらいいのに。

とは言わないで、私は首元にかけてあるライトで室内を照らす。

安藤さんはベッドにおらず、窓際のソファにうつむいて座っていた。

長い髪がまるでホラー映画の幽霊のように見えて、安藤さんだとわかっていてもドキッとする。

「やっと来た、槇さん」


安藤さんが顔を上げた。

小田さんが倒れる前のナースコールは、千葉くんが対応してくれていたのだろう。

「安藤さん、どうしました。薬ですか?」
「いいえ、違うの。あなたに会いたくて」

私は珍しく、イラっとしてしまった。

今は緊急事態で、夜勤でいつもより人がいなくて、なのに照明を消して「自分かわいそうアピール」して、人を呼び止めて。

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