離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
消化器病棟にいたので、便秘の人はたくさん見たことがある。

お腹が痛くなってお通じがあればいいけど、腸閉塞を起こしている場合もある。

もしかしたら便秘は関係ない腹痛かもしれないし、一刻も早く受診するに限る。

「すぐそこが家、だから、帰る」
「近くなんですか?」
「そう」

話したあと、彼女は息を吐く。

「いつも下剤使えば出るし、楽になるから」

言葉がしっかりしてきた。少し痛みがおさまってきたのかもしれない。

「じゃあ、帰りましょう。送っていきますから頑張って」

肩を貸すと、彼女はふらふらと歩きだす。

瘦せていて頼りない。かけられる体重が軽いことだけが幸いだ。

うん、これくらいならなんとかなりそう。

大きな道から細い道に入って、彼女の言う通りに歩く。

すると、いきなり金髪の彼女が私の腕をぐいと強く引っ張った。

「えっ、えっ?」

嘘のようにしっかりとした足取りで、彼女の家ではなく、真っ暗な公園に引っ張られていく。

「あの、どうしました?」

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