離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
聞き覚えのある声がして、慌てて立ち上がる。

男たちの後ろから現れたのは、長い髪をなびかせた安藤さんだった。

病室でしていた質素な姿とは完全に別人。

半袖カットソーにカーディガン肩掛け、フレアスカートにヒール、そして巻き髪に揺れるピアス。

まるで女子アナ。きれいで、そして他人に守られることを前提とした服装。

生まれながらの育ちの良さがにじみ出ている。私とは違う。

「今自分がどういう状況か、わかる?」

腕組みをして聞いてくる偉そうな態度に、私は心底後悔した。

この人を裏切ってしまったと悩んでいた自分がバカみたいだ。

「私を脅して、離婚させようっていうんでしょう」

ズバリ言ってやると、安藤さんはふんと鼻を鳴らす。

「本当にかわいくない子。虚勢を張っていられるのも今のうちなんだから」

図星だったようだ。

じりじりと男たちの包囲網が狭まってくる。

「私の死体が発見されたら、絶対にあなたが疑われますよ」
「殺したりしないわよ。死ぬよりつらい目に遭わせてあげる。二度と圭吾に近づけないようにね」


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