離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
本当は自分で本を買って勉強すべきだ。その方が最新の情報が手に入るし、手元に置いておけばいつでも読める。

だけどうちは貧困家庭だったので、なんとなくもったいないと思ってしまうのだ。

そして小さなアパートに三人暮らしなので、本を置く場所を取ってしまうのも申し訳ない。

幸い、大きな病院に就職できたので、資料は図書室に潤沢にある。

使えるものはなんでも使わせてもらおう。

循環器のコーナーを見つけた私は、あっと息を呑む。

すぐ近くの閲覧コーナーに、笠原先生が座っているのを見つけたのだ。

「こ、こんにちは」

小さな声で挨拶し、軽く頭を下げる。

だって、気づいているのに無視したら感じ悪いものね。

笠原先生は私物と思われるノートパソコンに向かっていて、視線だけをこちらに動かす。

しかし「誰だお前」とでも言わんばかりの顔をし、そのまま目を逸らしてしまった。

か、感じ悪い……。

私服だし、髪も仕事中みたいにまとめてないから、一瞬誰かわからないのは理解できるけどさ。

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