離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
看護師をしていれば、急変に自然と鍛えられる。

「それでも、指示を待たずに率先して動くのはいいことだ。補助してもらって助かった」
「そ、そ、そうですか?」
「ああ」

笠原先生は微笑み、うなずく。

私はその笑みに、うっかり見惚れてしまった。

熱くなった胸に握ったハンカチを押し付けたのは、無意識だった。

「きみたちを見直した。飲み直そうか。もちろんおごるよ」
「えっ、いいんですか?」

普段なら「先生がいるから気を遣う」と嫌がりそうな千葉くんも、おごりと言われれば目を輝かせる。

結局私たちはそれから四人で飲み直し、一時間後に解散した。

救命のあとによく食事ができるとびっくりしているような視線も感じたけど、こちとら普段からそんなもんだから。

どんなにグロいものや汚いものを見たり触ったりしても、臭いにおいを嗅いでも、仕事が終われば切り替えて食事をする。

じゃないと生きていけないもん。

みんな一緒に店を出て、二台のタクシーをつかまえた。

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