離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「お客さん、行先は。早くしてくれますかね」
「ほら。運転手さん忙しいんだから早くしろよ」
助けるどころか、運転手さんに同調する笠原先生。なんて悪い人だ。
「じゃ、じゃあ……」
観念して住所を答えると、タクシーは乱暴に発車した。首を持っていかれそうだった。
さて、狭い車内にふたりきりだと、なにを話せばいいのかわからない。
黙っていると、笠原先生の方から口を開いた。
「そういえば、きみはどうして看護師を目指したんだ?」
「私ですか? えっと……家にお金がないからです。ちょっと笑っちゃうくらい」
私はナイチンゲールの伝記のことや、弟の大学受験のことを話す。
実家が裕福でないことは恥ずかしくもなんともない。
それで同情を買う気もさらさらない。ただの世間話と一緒だ。
「家族を支えるためか。今どき立派な若者だな」
「そうですか? 家族が支えあうのは当然のことでしょう?」
笠原先生は目を丸くし、次の瞬間ふふっと笑った。
「いや、絶対珍しい」
バカにされているのかと思ったけど、そういうわけではないらしい。嫌な感じはしない。
先生は近すぎる距離で私のことを見つめていた。
「ほら。運転手さん忙しいんだから早くしろよ」
助けるどころか、運転手さんに同調する笠原先生。なんて悪い人だ。
「じゃ、じゃあ……」
観念して住所を答えると、タクシーは乱暴に発車した。首を持っていかれそうだった。
さて、狭い車内にふたりきりだと、なにを話せばいいのかわからない。
黙っていると、笠原先生の方から口を開いた。
「そういえば、きみはどうして看護師を目指したんだ?」
「私ですか? えっと……家にお金がないからです。ちょっと笑っちゃうくらい」
私はナイチンゲールの伝記のことや、弟の大学受験のことを話す。
実家が裕福でないことは恥ずかしくもなんともない。
それで同情を買う気もさらさらない。ただの世間話と一緒だ。
「家族を支えるためか。今どき立派な若者だな」
「そうですか? 家族が支えあうのは当然のことでしょう?」
笠原先生は目を丸くし、次の瞬間ふふっと笑った。
「いや、絶対珍しい」
バカにされているのかと思ったけど、そういうわけではないらしい。嫌な感じはしない。
先生は近すぎる距離で私のことを見つめていた。