離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~
「お客さん、どうします?」

待たされているタクシーの運転手が、早く行きたそうに尋ねてくる。

「ふたりとも乗ります」

勝手に先生が答える。

「えっ?」
「ほら、早く」

私は後部座席に押し込まれる。そのあとで先生が乗り込んで、ドアを閉めた。

「せ、先生」
「心配するな。きみにタクシー代を出せとは言わない」

そっか、それは安心。いや違う。

とにかく距離が近い!

今まで遠い存在だった先生が、すぐ近くにいる。

どうしよう。さっき、もつ鍋食べてビール飲んじゃった。におうかな。すごく今更だけど。

どぎまぎしている私に、運転手さんが催促する。

「彼女を先に送っていってください」
「いいいいいです。降ります。歩きます」

緊張してしかたがない。

私がなかなか落ち着かないので、とうとうタクシーの運転手さんが大きな声で言った。

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