離婚前提婚~冷徹ドクターが予想外に溺愛してきます~

第三章

いい看護師になったと言われたら、その評価にふさわしい人間になりたいと思うわけで。

いやだって、AEDなんて講習さえ受けていれば、中学生だって使えるし。褒められるようなことじゃない。

憧れの先生に、ずっといい看護師だって思われたい……って言うか、がっかりされたくない。

だから、これからも頑張らなくちゃ。

「おはようございます、井上さん。お加減いかがですか?」

努めて明るい声で受け持ち患者さんの病室を訪ねる。

個室にいるこの患者さんは、井上さんという一昨日虫垂炎……いわゆる盲腸の手術をした患者さんだ。

消化器外科の患者だが、そっちの病棟のベッドが足りないのでこちらに入院している。

盲腸の手術は昔のような開腹手術ではなく、少しの傷口でできる腹腔鏡手術が主流になっている。

その手術が無事に終わり、もうすぐ退院という井上さんは、ぱっと見元気そうに見える。

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