冷酷な御曹司に一途な愛を注ぎ込まれて


 川本くんは私にずっと優しかった。ずっと気にかけてくれていた。川本くんがいたから、一希さんがいなかった間も頑張って働けた。


「ありがとう、川本くん。ここで働くのはあと三ヶ月だけど、それまでよろしくお願いします」



 川本くんの目線に合わせるように屈むと、川本くんは目に涙を溜めていた。


「俺、詩織さんはあの毒母が決めたヤバイヤツと結婚するかもしれないって思ってたんで……相手が橘さんなら凄く安心しました。悔しいけど……幸せになってください……」


「うん、ありがとう。心配かけてごめんね」

「いえ、俺はなにも……俺もここで頑張るので、あと、かわいい彼女見つけて二人にご報告に行きますんで。その時はニューヨーク案内してくださいね」

「うん、楽しみにしてる」


 お母さんとは色々あったけれど、ここで働けてよかった。


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