プライベートレッスン
最初に言っておくが俺は赤坂エリのファンだ。
彼女のいたアイドルグループはどうでもよかったが赤坂エリは好きだった。
偶然テレビで彼女を見た瞬間に好きになった、体中に電気が走ったのを覚えている。
ドラマの打ち合わせで彼女の名前を出したのも単純に赤坂エリに会いたかったからだ。
もちろん彼女のファンというのは誰にも秘密なんだけどさ。
「あぁ、よろしく」
俺はわざと興味がなさそうに言った。
俺にも脚本家としてのタテマエっていうのがあるからね。本当は踊りたいぐらい嬉しかったった。
「けっこう背が大きいんだね」
赤坂エリは心臓が止まるほど可愛かった。
「まだまだ伸び盛りですから」
そう言ってつま先立ちをして背伸びをした。
「テレビで見るより可愛いんだね、よく言われない?」
「そんなに言われませんよ。あんまりテレビに出てなかったし、それにメンバーの中にいても目立つ方じゃなかったから」
彼女は複雑な顔をして笑った。
「じゃあ、これからはいっぱい目立たないといけないね。芝居は初めてだっけ?」
「番組でコントはやっていたんですけど、やっぱりそれじゃ駄目ですよね?」
「赤坂先生だろ?深夜にやってたよね、たまに見ていたよ」
「本当ですか?」
彼女の顔が急に明るくなる。
「うん面白かったよ、君の学者姿がよく似合ってたから覚えているんだ」
赤坂先生は全部ブルーレイデスクで録画していた。脚本につまった時に気分転換でよく見ている。
「すみませーん、もうすぐ本番始めます」
迷彩のバンダナを巻いたADが彼女を呼ぶ。
「はーい。・・・それじゃあ」
そう言って撮影クルーの輪に消えていった。





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