正反対な双子のそっくりな溺愛
♢♢♢

「はのん!!新井くんに告白された??」

教室に戻った途端に親友の結衣(ゆい)ちゃんに話しかけられた。

「…告白、されたよ」

周りで話を聞いていた女子達と結衣ちゃんから“キャーッ”と悲鳴が上がる。

「えーっ、はのんもリア充の仲間入りかぁ…置いてかないでよ~」

なぜか結衣ちゃんの中で私が新井くんの告白にOKしたことになっている。

「リア充じゃ、ないよ。断ったから」

結衣ちゃんの目がまん丸になった。

「ぇ、…なんで、」

そりゃそうだろう。

学年中の女子が1度は好きになったことがあるレベルに新井くんはモテる。

「新井くんのことが好きなわけじゃないから、かな…。それに…」

私は告白された時に起きた出来事を話した。

「え、新井くんってそんな人だったの…?はのんが新井くんのこと振っててよかった!」

結衣ちゃんもかなり驚いている。

「で、助けてくれた3年生の先輩を新井くんが“かい”って呼んでたんだけど、誰か知ってる?」

「え、」

結衣ちゃんの動きが止まった。

「“かい”って、黒髪で、前髪長くて、イケメンな、あの(かい)先輩?」

結衣ちゃんの言った特徴は全てあの先輩に当てはまっている。

「うん…多分そう」

「えぇーっ!」

今日の結衣ちゃんは驚き過ぎだ。

「海先輩?ってそんなにすごい人なの?」

「そりゃそうだよっ!暴走族の総長でめっちゃケンカ強い、クールで女嫌いな海先輩だよ?むしろなんで知らないの」

結衣ちゃんはかなり食い気味に話している。

「そ、そうなんだ…今度会ったらお礼言わないと」

結衣ちゃんに気圧される。

「で、海先輩は双子なんだけど、海先輩の双子の弟は(そら)先輩って言って生徒会長なの。空先輩もめっちゃイケメンなんだよっー!!」

結衣ちゃんのマシンガントークを久しぶりに聞いた。

でも、海先輩が双子だったとは。

これから関わることはほとんどないだろうけど、少しだけ興味がわいた。
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