愛より深く奥底へ 〜救国の死神将軍は滅亡の王女を執愛する〜
ヒルデブラントは謝らなかった。
クライヴは両者に根気よく物事の道理や騎士道を教えた。
神に奉仕し、君主に仕え、婦人や弱き者たちを守る。それが騎士としての務めである。仲間を愚弄してはならず、短気を起こしてケンカをするべきではない、と。
そうして、十四歳となったときだった。
父、カーライル子爵が跡継ぎに弟を指名し、国王へ申請したことがわかった。
ヒルデブラントはふさぎこんだ。
跡継ぎであることが唯一の父とのつながりだった。立派な騎士になれば父が認めてくれる。そんな希望をどこかに持っていた。それが打ち砕かれたのだ。
もはや生きる理由がわからなかった。
そんな頃、五歳の王女が妹王女を弑そうとしたという噂が流れた。
クライヴは隔離された王女の警護――実際の監視を任された。
「稚いお子でいらっしゃる。赤ん坊を殺すなど、思いつくはずもない」
クライヴはそうこぼした。
実の父に疎まれ、母が早世し、継母に忌み嫌われている。
自分との相似に、ヒルデブラントは親近の情を持った。
従騎士となっていた彼は、クライヴに連れられて離宮を訪れた。
離宮を見たヒルデブラントは驚いた。
王族が住むような代物ではなかった。
鉄の門は錆びて赤茶け、石垣は崩れ、通路以外には草が伸び放題だ。
ガラスの窓は割れ、木戸すらも取れかけている。
「こんなところに王女殿下が住んでおられるのですか」
クライヴに尋ねると、彼は苦いものをにじませた。
「修理を手配させているが、承認が下りないのだ」
これほどに疎まれているのか、と彼は驚いた。
そのときだった。
ドアが開かれ、幼い高い声が響いた。
「クライヴ様、いらっしゃいませ!」
「殿下、お迎えありがとうございます」
「おいでになる頃だと思ってたの!」
クライヴは少女を抱き上げた。
彼女は顔を笑みで満たした。
「今日は従騎士を連れてまいりました」
彼は少女を下ろし、言った。
クライヴは両者に根気よく物事の道理や騎士道を教えた。
神に奉仕し、君主に仕え、婦人や弱き者たちを守る。それが騎士としての務めである。仲間を愚弄してはならず、短気を起こしてケンカをするべきではない、と。
そうして、十四歳となったときだった。
父、カーライル子爵が跡継ぎに弟を指名し、国王へ申請したことがわかった。
ヒルデブラントはふさぎこんだ。
跡継ぎであることが唯一の父とのつながりだった。立派な騎士になれば父が認めてくれる。そんな希望をどこかに持っていた。それが打ち砕かれたのだ。
もはや生きる理由がわからなかった。
そんな頃、五歳の王女が妹王女を弑そうとしたという噂が流れた。
クライヴは隔離された王女の警護――実際の監視を任された。
「稚いお子でいらっしゃる。赤ん坊を殺すなど、思いつくはずもない」
クライヴはそうこぼした。
実の父に疎まれ、母が早世し、継母に忌み嫌われている。
自分との相似に、ヒルデブラントは親近の情を持った。
従騎士となっていた彼は、クライヴに連れられて離宮を訪れた。
離宮を見たヒルデブラントは驚いた。
王族が住むような代物ではなかった。
鉄の門は錆びて赤茶け、石垣は崩れ、通路以外には草が伸び放題だ。
ガラスの窓は割れ、木戸すらも取れかけている。
「こんなところに王女殿下が住んでおられるのですか」
クライヴに尋ねると、彼は苦いものをにじませた。
「修理を手配させているが、承認が下りないのだ」
これほどに疎まれているのか、と彼は驚いた。
そのときだった。
ドアが開かれ、幼い高い声が響いた。
「クライヴ様、いらっしゃいませ!」
「殿下、お迎えありがとうございます」
「おいでになる頃だと思ってたの!」
クライヴは少女を抱き上げた。
彼女は顔を笑みで満たした。
「今日は従騎士を連れてまいりました」
彼は少女を下ろし、言った。