愛より深く奥底へ 〜救国の死神将軍は滅亡の王女を執愛する〜
「妖女の処刑は、なおいっそうの破滅を招く恐れがあります」
「ではどうするというのだ!」
ハリクスは激高した。
「私が勝利を手に入れて参ります」
ヒルデブラントは言った。
なにも策などなかった。
ただエルシェを救うために必死だった。
「お前ごときが」
ハリクスは嘲笑う。
「私は陛下の期待に応えて参りました。死神の名にかけて、必ずや勝利を献上いたしましょう」
ヒルデブラントはハリクスの目を見て言った。
「どのような策があるというのだ」
答えず、ヒルデブラントはニヤリと笑って見せた。
策などない。だが、策があるように見せかけなければならなかった。
結果、その笑みは言葉よりも雄弁にハリクスを説得した。
「よかろう。任せる」
「陛下、こんな若造に!」
報告に来た男が異議を唱える。
「黙れ! 予が決めたことだ!」
ハリクスが怒鳴り付け、男はぐっと押し黙った。
ヒルデブラントは階級を上げて戦地へ送られることとなった。
ヒルデブラントはゼンナに言った。
出征前に王女殿下にお目にかかりたい、と。
戦地に向かえば彼自身が命を狩られる可能性がある。
だから、一目だけでも彼女に会いたかった。
ゼンナは了承した。
面会が叶ったのは満月の夜だった。
密会には不相応な明るい月輪の下、彼はエルシェに会いに行った。
マントで顔を隠し、ゼンナとともに尖塔のたもとに行く。
彼女は衛兵に言った。
「滅びの妖女を見てみたいっていうお方がいらしてね。見るだけよ、扉には鍵がかかっているんですもの、中には入れないし、王女は逃げられないわ」
そう言って小銭を握らせると、それもそうだな、と衛兵は懐にしまった。
「ではどうするというのだ!」
ハリクスは激高した。
「私が勝利を手に入れて参ります」
ヒルデブラントは言った。
なにも策などなかった。
ただエルシェを救うために必死だった。
「お前ごときが」
ハリクスは嘲笑う。
「私は陛下の期待に応えて参りました。死神の名にかけて、必ずや勝利を献上いたしましょう」
ヒルデブラントはハリクスの目を見て言った。
「どのような策があるというのだ」
答えず、ヒルデブラントはニヤリと笑って見せた。
策などない。だが、策があるように見せかけなければならなかった。
結果、その笑みは言葉よりも雄弁にハリクスを説得した。
「よかろう。任せる」
「陛下、こんな若造に!」
報告に来た男が異議を唱える。
「黙れ! 予が決めたことだ!」
ハリクスが怒鳴り付け、男はぐっと押し黙った。
ヒルデブラントは階級を上げて戦地へ送られることとなった。
ヒルデブラントはゼンナに言った。
出征前に王女殿下にお目にかかりたい、と。
戦地に向かえば彼自身が命を狩られる可能性がある。
だから、一目だけでも彼女に会いたかった。
ゼンナは了承した。
面会が叶ったのは満月の夜だった。
密会には不相応な明るい月輪の下、彼はエルシェに会いに行った。
マントで顔を隠し、ゼンナとともに尖塔のたもとに行く。
彼女は衛兵に言った。
「滅びの妖女を見てみたいっていうお方がいらしてね。見るだけよ、扉には鍵がかかっているんですもの、中には入れないし、王女は逃げられないわ」
そう言って小銭を握らせると、それもそうだな、と衛兵は懐にしまった。