初恋ダイアリー

初めてのデート

あの日から、私と遥斗さんは学校がある日は毎日会うようになった。登下校と昼休み。遥斗さんとの時間は楽しかった。でも、短い時間で、あっという間に別れる時間になってしまうから、別れる時は、寂しさもあったりした。恋が何か、少し、分かった気がする。
そして、季節は、夏の陽気に変わりつつある。まだ、梅雨前だというのに、晴れの日は真夏日に近い暑さだった。
今日はお気に入りの白いワンピースを着て、白いキャップを被ってきた。
白色だと、余り、暑さを吸収しないらしい。
駅の前にある大きな木の日陰で暑さを凌いでいた。
後、一時間か...。でも、そろそろかな。
「おはよう、鈴華」
「おはようございます」
遥斗さんが来た。
「待った?」
「いえ。遥斗さんこそ、一時間前に来ましたよね?
私、それが心配で早く来たんですから」
「今日は初めてのデートだから。鈴華を待たせたら、
悪いかなって」
そう。今日は初デートなのです。
でも、私は遥斗さんが早く着こうとする事が一番の懸念だった。
「私は楽しみで早くは来ません。なので、約束の時間より早く来るのは駄目です。熱中症とかで倒れられたら、心配です」
「はい。ごめんなさい」
私は、遥斗さんに抱きついた。
「鈴華!?」
「これで、許してあげます。さっ、行きましょう。私、今日、楽しみだったんです」
私は、遥斗さんの手を取って歩き出した。
「俺も楽しみだった」と遥斗さんが呟いたのは、さっき、抱きついた時からの鼓動がうるさくて、私には、聞こえ無かった。
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